Officeのカイル君

電子ペットは、一緒に遊んだり可愛がって楽しむものばかりではありません。
困った時にサポートしてくれる電子ペットというものも、存在するのです。
かつて、Microsoft Officeにはヘルプメニューの1つとして「Officeアシスタント」という機能が存在しました。
WordやExcelなどを起動すると画面の端にキャラクターが現れ、「なにかご用ですか?」「質問はなんですか?」などと吹き出しを使って語りかけてくるのがそのスタイル。
キャラクターにはいくつかの種類かありましたが、代表的なものはイルカの「カイル君」でしょう。
貝殻の形をしたパソコンを持っており、質問をすると鼻先でそのパソコンを操作して答えてくれました。
そして、アシスタント機能を終了するとくるりと回って水中に消えるという愛らしいすがた。
アシスタントにはカイル君以外にも、クリップ型のキャラクターや子犬、女性の「冴子先生」などユニークなキャラクターがあり、それぞれにオリジナルの動きがあるなど工夫されていました。

しかし、このアシスタント機能、実用面での評判はあまり良くありませんでした。
質問を入力しても的確な答えが表示されることは少なく、結局ヘルプを開いて目次から探したり、ネットで検索しなくてはならない場合が多かったのです。
そのため、途中のバージョンからは初期設定で非表示になり、Office2007以降は廃止されてしまったのですが、「電子ペット」という観点では隠れファンも多かったようです。

殺風景なWordやExcelの画面に現れ、時には画面内をくるくる回ったりあくびをしたりする姿や、「使えないけど可愛い」というキャラクターが、実用面をこえた魅力になっていた一面もあったのです。
しかし、やはり業務用で使われることの多いソフトですから、実用性が第一。
「何について調べますか」という質問に対して「お前を消す方法」などと入力されてしまうOfficeアシスタントは廃止になっても仕方なかったのでしょう。
初めて登場したOffice97では小さな枠の中に表示されていたアシスタントですが、その後のバージョンでは枠があることによる見苦しさを解消するためと画面上に直接表示されるようになりました。
ところが、その際に表示をより立体的にしたり、動きのバリエーションを追加したためにソフトの動作がさらに重くなってしまうという事態を招いたのです。
今ではアシスタントを使わなくてもすぐに各機能が理解できるようなインターフェイスとなり、わからないことをネットで調べることも容易になったので、アシスタントは不要というのも時代の流れでしょう。
しかし、あの「使えないけどかわいい」姿を懐かしむ声はまだまだあるようです。

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